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リノベーションで耐震性は上がる? 耐震補強工事の費用や方法を解説

2025.2.13
リフォームコラム

戸建てのスケルトンリノベーション

「中古物件の購入を検討しているけれど、建物の耐震性が気になる」「親から相続した家をリノベーションしようと考えているけれど、耐震対策にかかる費用や方法が分からない……」とお悩みではありませんか?

この記事では、リノベーションと耐震補強の関係性、工事費用、具体的な補強方法、補助金制度や税金控除について詳しく解説します。安心して長く住み続けるために、耐震リノベーションを検討してみませんか?

リノベーションで耐震性は上がる?メリットは?

築年数が経過した住宅は、経年劣化により耐震性が低下していることも珍しくありません。そのような状況の中古住宅であっても、リノベーションを行う際に耐震補強工事も行えば、建物の耐震性を上げることが可能です。

リノベーションで壁や床を解体した際には、建物の骨組みの現状を把握できます。耐震性に対する問題点も見つけやすいため、リノベーションは建物の耐震性を強化する絶好の機会です。また、シロアリ被害の確認や駆除、防蟻処理なども併せて行うことができます。

リノベーションで耐震補強工事を行うと、他にも以下のようなメリットがあります。

費用・工期を削減できる

リノベーションと耐震補強工事を同時に行うことで、費用と工期の両面で大きなメリットがあります。別々に行う場合、それぞれで設計・施工費用、工事期間が発生しますが、同時に行うことでこれらの重複を省き、効率的に進めることができます。

税金の控除があることも

耐震補強工事を行う場合は、一定の要件を満たす必要がありますが、所得税や固定資産税の減額など、様々な優遇制度を利用できる可能性があります。旧耐震基準の建物の場合には、補助金を申請できるケースもあります。

安心して生活できる

耐震補強工事は、大きな地震への備えです。リノベーション時に耐震補強工事を行うことで、地震による倒壊や損傷のリスクを軽減し、大切な家族を守ることができます。損傷の程度によっては、その後も問題なく住み続けることも可能です。

耐震リノベーションによって、家と家族の命、暮らしを守ることができます。

築年数で変わる耐震性【新耐震基準と旧耐震基準】

耐震性を満たすことの重要性

耐震補強が必要か否かは、建物の築年数からある程度予測することができます。建物の耐震基準は、過去の大地震を経て改定されているからです。

特に、1981年5月31日までに建てられた「旧耐震基準」の木造住宅は、大地震の際に倒壊の危険性が高いとされ、1981年6月1日以降に建てられた「新耐震基準」の建物は比較的安全とされています。

項目旧耐震基準(1981年5月31日以前)新耐震基準(1981年6月1日以降)
耐震性能震度5強程度の中規模地震で倒壊などの被害を受けないこと震度6強~7程度の大規模地震で倒壊しないこと
耐震診断耐震性を確認するために必要耐震性を確認するために必要だが、新耐震基準を満たしていれば比較的安全
補強工事耐震性を向上させるために必要となる場合が多い必要に応じて行う

大地震が起きる度に耐震基準は変わる

「大地震が起きる度に耐震基準は変わる」というのは、日本の建築基準法の歴史を紐解くと明らかです。大きな地震が発生する度に、その被害状況を分析し、建物の倒壊や損傷の原因を究明した上で耐震基準が見直され、より安全な建物を作るための基準が強化されてきました。

例えば、1923年の関東大震災では、建物の倒壊や火災による甚大な被害が発生しました。この震災や戦火を教訓に制定されたのが建築基準法です。その後も、1978年の宮城県沖地震、1995年の阪神・淡路大震災など、大きな地震が発生する度に、耐震基準は強化されています。

具体的には、壁の量や配置、構造材の接合部の強度、基礎の構造など、様々な項目について基準が見直されてきました。旧耐震基準の建物は、現行の基準に比べて耐震性が低い可能性があるため、耐震診断や耐震補強工事を行うことが重要とされています。

2000年基準により耐震性能が明確化

1995年の阪神・淡路大震災や住宅に係る様々な社会問題を契機に、2000年に施行されたのが住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)です。

品確法に基づき、住宅性能表示制度が始まりました。これにより、耐震性能が等級1〜3の3段階で評価されるようになり、消費者が住宅の耐震性を容易に比較検討できるようになりました。

耐震等級1は建築基準法レベルの耐震性能を満たしていることを示し、耐震等級2は耐震等級1の1.25倍、耐震等級3は耐震等級1の1.5倍の耐震性能を有することを意味します。耐震等級3は数百年に一度発生する地震でも倒壊しないレベルの耐震性を備え、地震の後も住み続けることができるとされています。住宅性能表示制度により、消費者は住宅の耐震性能を客観的に判断できるようになったのです。

新耐震基準を満たしていれば比較的安全といえますが、2000年の改正により地盤調査などが義務化されています。より安心して暮らすためには、2000年以前に建てられた木造住宅は耐震診断を受け、必要な耐震補強工事を行うのが安心です。

耐震診断の必要性

地震の揺れを受ける戸建て住宅

築年数から旧耐震基準か新耐震基準かの判断ができるので、ある程度の推測はできますが、現状の耐震性能を正しく把握するためには「耐震診断」が必要です。

耐震診断では、建物の築年数、構造、劣化状況などを詳しく調査し、現在の耐震基準に照らし合わせてどの程度の耐震性があるかを評価します。新耐震基準であっても、築年数によっては経年劣化により耐震性が低下している場合もあるので安心はできません。

耐震診断は、建物の図面があれば診断精度が上がりますが、図面がなくても現地調査で診断が可能です。耐震診断の結果に基づいて、必要な耐震補強工事の内容や規模を決定することができます。

耐震補強工事をどこまでするかは、耐震診断の結果次第です。耐震診断は、過剰な補強工事が行われたり、必要な工事が行われなかったりすることも防ぎます。

耐震補強工事の方法

耐震工事と書かれたブロック

耐震補強工事は、建物の構造や劣化状況、そして目指す耐震性能によって様々な方法があります。以下に、基礎、土台、壁、接合部、屋根といった主要部位ごとの代表的な補強方法を解説します。

基礎

建物の土台となる基礎の補強は、耐震性を向上させる上で非常に重要です。基礎は建物の重みを支え、地震や台風などの外力から建物を守る役割を担います。

コンクリートのひび割れや鉄筋の腐食など、基礎に劣化が見られる場合は、耐震性能が低下している可能性があり、補強工事が必要です。特に、旧耐震基準の建物の基礎は「布基礎」であることが多く、建物を囲うように基礎があり、鉄筋が入っている部分もその範囲に限られます。

現在主流となっている「ベタ基礎」のように「面」で建物を支えられないため、鉄筋の追加、コンクリートの増し打ちなどで補強を行う必要があります。

土台

築年数の経った木造住宅では、建物を支える土台に腐朽やシロアリ被害などの劣化が生じている場合があります。土台の劣化は建物の耐震性を著しく低下させるため、リノベーション時に併せて補強工事を行うことが重要です。

この際、防腐・防蟻処理を施した木材を使用することで、将来的な劣化を予防できます。また、シロアリ被害が確認された場合は、駆除と防蟻処理を徹底的に行う必要があります。

筋交いを入れた壁

木造住宅では、壁の強度も建物の耐震性を大きく左右し、壁の耐震補強は地震から家を守る上で最も重要なポイントです。

壁の耐震補強工事は、耐力壁を増設する工事が中心になります。既存の壁をはがして筋交いを入れ、再び壁を仕上げ直す工事です。耐力壁のバランスが悪いと、建物が倒壊する恐れがあります。そのため、耐力壁は計算に基づいて入れることが大切です。

接合部

接合部は、地震の揺れによって大きな力が集中する箇所であり、建物の耐震性を左右する重要な要素です。特に柱と梁の接合部は、建物の構造上、荷重が集中しやすく、地震時に損傷しやすい部分です。

接合部が弱いと、建物全体の強度が低下し、倒壊のリスクが高まります。そのため、耐震リノベーションでは、接合部の補強を重点的に行わなくてはなりません。例えば、地震の衝撃で金物が外れないように、ホールダウン金物などで強固に固定し、地震に耐えうる強度を確保します。

屋根

屋根と工事のために組まれた足場

屋根は建物の最上部に位置するため、その重量は地震時の揺れに大きく影響します。屋根が重いほど建物の重心が高くなり、地震の際に大きく揺れて倒壊のリスクが高まります。

そこで、耐震リノベーションでは屋根の軽量化も重要なポイントとなります。具体的には、既存の重い屋根材を軽量な屋根材に葺き替えることで、建物の重心を下げ、地震時の揺れを軽減する効果が期待できます。例えば、瓦屋根からガルバリウム鋼板などの軽量な屋根材に葺き替えるといった方法が挙げられます。

また、屋根の軽量化に加えて、屋根構造材の補強も耐震性を向上させる上で有効です。経年劣化により腐食や損傷が生じている場合は、補強材を追加したり、損傷部分を修繕したりすることで、屋根の強度を高めることができます。これにより、地震時の外力に耐えることができ、倒壊のリスクを低減できます。

耐震リノベーションの費用相場

耐震リノベーションの費用相場は、建物の構造、築年数、延床面積、耐震診断の結果、必要な工事内容などによって大きく異なります。

また、耐震基準を満たすだけの必要最低限の補強で済ませるのか、大地震にも耐えられる高い耐震性能を目指すのかによって、工事の規模や費用が大きく変わってきます。

兵庫県では、「ひょうご住まいの耐震化促進事業」によって補助金の助成を受けることが可能です。費用の目安として、耐震改修工事費の実績が公開されています。

出典:兵庫県

地震に対する十分な安全性を確保するための「住宅耐震改修工事」では、100~300万円が57%と費用の半数を占めていますが、令和3年度の実績では約318万円が中央値となっています。

住宅の瞬時倒壊防止のために部分的に改修する「簡易耐震改修工事」では、100万円未満から200万円が同じく57%を占める結果になりました。簡易耐震改修工事の令和3年度の実績は、約113万円が中央値となっています(ただし、一部に耐震補強以外のリフォームも含む)。

また、費用を左右する条件が「評点(地震に対する強さを表す指標)」です。評点は高いほど、地震に対して強く、倒壊する可能性が少ないことを意味しています。反対に、評点が0.7未満の場合は、倒壊する可能性が高いことになります。

評点判定
1.5以上倒壊しない
1.0〜1.5未満一応倒壊しない
0.7〜1.0未満倒壊する可能性がある
0.7未満倒壊する可能性が高い

耐震リノベーションで利用できる補助金・税金控除

多くの自治体で旧耐震基準の建物を対象に、耐震補強工事に対する補助金を助成しています。
また、一定の要件を満たせば、税額控除などを受けることも可能です。

自治体による補助金制度

補助金と書かれたブロック

兵庫県では、市町を通じて補助金の交付を行っています。兵庫県宝塚市における、木造戸建て住宅向けの補助金事業の概要について解説します。
尚、補助の対象となるのは、旧耐震基準(1981年5月以前に着工)の住宅です。

また注意点として、契約前に市町に交付申請書の提出が必要になります。交付決定前に工事を契約すると補助の対象外になるので注意が必要です。

耐震改修計画策定費補助

耐震改修を行う前の耐震診断や、改修設計費用に対する補助として、耐震診断・設計費用の2/3以内、上限20万円の申請が可能です。

住宅耐震改修工事費補助

耐震改修工事を行う場合は、上限を100万円として、工事費の4/5以内の補助金を受けることができます。申請者の所得が1200万円以下などの条件があります。

簡易耐震改修工事費補助

耐震性を改善するために、部分的な改修工事を行う場合は、設計費と工事費に対して補助金を受けることが可能です。上限を50万円として、設計費・工事費の4/5以内が補助されます。
耐震診断の結果、評点が0.7未満の住宅が対象です。簡易耐震改修工事費補助も、申請者の所得が1200万円以下などの条件があります。

屋根軽量化工事費補助

土葺瓦屋根のような非常に重い屋根材を、から葺き瓦屋根やスレート屋根に軽量化する工事を行う場合に、定額で50万円の補助金を受けることが可能です。
条件として耐震診断を行い、評点が0.7以上1.0未満の住宅が対象となります。

住宅耐震改修特別控除

旧耐震基準の住宅に対して、現行の耐震基準に合わせる耐震改修工事を行った場合は、所得税の控除があります(2025年12月31日まで)。これは工事が完了した年限定の制度です。

耐震改修工事限度額を250万円とし、10%が所得税から控除されます。控除限度額は25万円です。
また、耐震改修工事と併せて増改築を行った場合は、控除額が引き上げられます。耐震改修工事相当額のうち、250万円を超えた額(上限1000万円)と増改築に要した額の合計のうち、5%が控除に。最大控除額は62.5万円になります。

固定資産税の減税

固定資産税と書かれたブロック

住宅耐震改修特別控除と同様に、旧耐震基準の住宅に対して、現行の耐震基準に合わせる耐震改修工事を行った場合は、固定資産税の減額措置があります。1982年1月1日以前から所在している住宅で、床面積の1/2以上が居住用であることが条件です。耐震改修工事費用が50万円以上であることも条件になります。

減額の概要は、申請した翌年分の固定資産税が1/2に減額されます(120㎡相当分までに限る)。

まとめ

リノベーションは大幅な間取り変更が可能であるとともに、建物の状態を把握する絶好の機会です。筋交いや接合金具の追加などもリノベーションと同時に行えるので、費用と工期の面からも無駄がありません。

また、1981年5月31日以前に建てられた「旧耐震基準」の木造住宅は、一度耐震診断を受けることをおすすめします。旧耐震基準の建物を耐震補強する場合は、自治体からの補助金が受けられる他、固定資産税の減額や所得税の控除措置もあります。まずは、耐震補強工事の知識や事例が豊富なリフォーム会社に相談してみましょう。

兵庫県のリフォーム会社「駒商」は、兵庫県の住宅改修業者登録制度の登録事業者です。駒商の耐震リノベーションは、精密な現地調査を行い、建物全体のバランスを考慮した上で新築同様の耐震性能を確保します。兵庫県内で耐震リフォームをご検討の方は、お気軽にご相談ください。

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